TAMA市民塾・塾長 宮本 謙介
2020年4月に塾長に就任しました宮本です。「就任のご挨拶」を兼ねまして、今後の生涯学習のあり方について簡単に所見を述べさせていただきます。なお、新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、やむを得ず講座を中止しました関係でご挨拶が遅くなりました。ご容赦ください。
私は、これまでは大学でアジアの社会・経済について研究してまいりました(北海道大学28年、台湾・国立台中科技大学8年、亜細亜大学5年、2020年3月定年退職)。大学在職中から生涯学習には関心をもっていましたので、大学の公開講座や大学外での各種の市民講座・講演会等には積極的に参加していましたが、このたびのように生涯学習の団体に本格的に関わるのは初めてのことになります。ですから生涯学習の活動はほとんど素人です。これから大学在職中の教育経験も活かしながら、生涯学習のあり方・存在意義などについて考えるとともに、TAMA市民塾の受講生や多摩市民の皆さんのご要望に応えられるよう、微力ながら努めるつもりです。どうぞ宜しくお願いいたします。
塾長就任にあたって「TAMA市民塾規程」を改めて学習しました。その第1条(目的)には、「・・・市民の人材を活用して参加型・対話型の体験学習講座を行い、・・・市民主導の生涯学習を確立すること」が掲げられています。また当塾の今日的な存在意義については、これまで「たまずさ」をはじめとする塾の刊行物で歴代の塾長や理事が繰り返し述べておられます。私なりに簡単にまとめますと、急速に進む少子高齢化、単身世帯の増加などによって地域社会の人間関係が希薄化し様々な社会問題を引き起こしていること、コミュニティ(共同体)としての地域社会は崩壊の危機にあり、地域社会再生の一助として生涯学習による「知縁コミュニティ」づくりが有効であること、などが指摘されています。いずれも極めて重要な指摘であり、このような理念に基づく活動は今後も是非堅持していきたいものです。
更にこれからは、ポスト・コロナ時代の地域社会の生涯学習のあり方についても考えていく必要があるように思われます。昭和・平成時代に急速に進んだ人口の大都市集中と経済のグローバル化は、新型感染症の世界的大爆発を引き起こし、深刻な被害を生み出しています。コロナ以後の時代は、地方分散型の社会生活基盤の整備や産業振興、経済成長優先から福祉・医療重視の政策への転換が求められます。こうした社会変化に対応して、我々は常に新しい知識・技術を獲得することが必要となります。「知縁コミュニティ」を一層活性化させる生涯学習の存在意義も高まります。これから皆さんとともに、新しい時代の生涯学習のあり方について模索していきたいと考えています。
※私の詳しい自己紹介については、下記の個人ホームページをご覧ください。